危機的状況から一転!?脳損傷の結果天才になった人物たち

脳は、外的要因などで損傷すると障害を残し、例えば手足が自由に動かせなくなるなどします。
脳はとても繊細であるため、転んで頭を打っただけでも歩けなくなってしまう、言葉を発せなくなってしまうなどの後遺症が残ることもあるのです。そんな中、脳の損傷により天才と呼ばれるほど特別な能力を得た人たちがいます。
何人か紹介していきましょう。

脳損傷と引き換えに音楽の才能を得た天才『デレク・アマート』


画像引用元:http://commonpost.info/?p=82341

デレク・アマートという人物は、サッカーをしている際に頭を強打し、脳震盪の症状に見舞われます。
命に別条はありませんでしたが、彼は聴力の3割以上を失う結果となってしまいました。
事故後は頭痛も度々発症し、記憶が定着しないという症状にも悩まされたと言います。

しかし、そんな後遺症と引き換えに手に入れたのが、音楽の才能でした。
それまで全く音楽に関する教育を受けてはいませんでしたが、突然キーボードを演奏し、見事な曲を奏で始めたのです。
専門教育を受けてはいないため楽譜を読むことはできず、しかし音楽への興味は尽きずに、ただただ演奏することで彼は音楽と向き合い、そしてプロになるまでに至りました。

8種類もの楽器を演奏することができるようになり、また、歌も怪我をする前と比べると格段に上手になったとのことです。
事故前は仕事もうまくいなかったようですが、音楽の才能を身につけたことによりミュージシャンという仕事に就くことができ、人生が好転したデレク・アマート氏。
まさに怪我の功名と言えるのかもしれません。

脳出血がきっかけで絵と彫刻の才能に目攻めた天才 『ジョン・サーキン』


画像引用元:http://karapaia.com/archives/52223537.html

デレク・アマート氏は怪我により才能を手に入れましたが、ジョン・サーキン氏は、病気により才能を手に入れた男として知られています。
彼を襲ったのは脳出血でした。
趣味であるゴルフをしていたところ、脳の血管に異常が発生し病院へと運ばれます。
命を取り留めるための手術が行われましたが、結果的には脳の一部を失うことになりました。

その後、彼は一変します。
突然芸術活動への意欲が生じ、それが高まり、創作活動に乗り出すのです。
彼は感情をキャンバスにぶつけたような作品を生み出す芸術家となりました。
現在では個展なども開かれ、アウトサイダーとは思えぬような価格で作品が取引されています。

それまでの仕事を辞め、絵画や彫刻といった芸術活動に専念するようになったジョン・サーキン氏は、しかし病気が原因で聴力を半分失い、視野も病気をする前と比べると狭くなっているようです。
こうした症状は一生治らないかもしれませんが、それと引き換えに芸術的な感覚や衝動を得たことは、彼にとっては良かったことなのかもしれません。

脳損傷と引き換えに超記憶を授かった男性 『オーランド・セレル』


画像引用元:http://karapaia.com/archives/52223537.html

野球をしている最中、ボールが頭にぶつかり、それにより超人的な記憶力を手に入れた人がいます。
オーランド・セレル氏です。
その出来事が脳に何らかの障害をもたらし、そして脳内の構造の変化によって飛び抜けた才能が生まれたと考えるのが自然でしょう。

野球のボールが頭部を直撃した際は、さほど大ごとにはならなかったようです。
すぐにプレイへと戻ったと言われています。

その後激しい頭痛に襲われましたが、彼に才能が備わったのは、その直後とのこと。
目で見たものを瞬時に記憶できる自分に気がついたのです。

彼は一瞬だけ見た景色を絵に描き起こすことができるようになりました。
技術的に長けているわけではないものの、その情景はとても正確に対象を表現しています。
とても記憶を頼りに描いたとは思えません。

また、オーランド・セレル氏は過去の年月日と曜日を結びつける能力を備えましたが、それと同時に、未来の年月日と曜日を結びつける能力も身につけています。
恐ろしいほどの記憶力があるからこその能力と言えるでしょう。

人生の破壊をきっかけに数学力を授かった男性 『ジム・キャロロ』

脳を損傷することで超絶な記憶力が備わったという例はいくつもありますが、ジム・キャロロ氏の場合には、数学という特定の分野にその能力が発揮された点で特徴的なのかもしれません。

彼がまだ14歳だった頃、事故に遭ったのですが、それは母親を亡くすほどの大きなものでした。
彼自身も脳損傷を負い、死を覚悟しなければならない状態だったと言います。

しかし、彼は亡くなるどころか、事故前には一切興味のなかった数学に関心を寄せ、しかも習ってもいない数学の問題を解き、周囲を驚かせます。
同時に記憶力にも優れ、数学のテストには何の苦労もしなくなったそうです。

計算してそのような状態や才能を手に入れたわけではありませんが、脳は壊れた部分を補うようにできており、そうした脳の特性がこのような事例を生んでいることは間違いありません。
まさに一発逆転の出来事であるとともに、脳の素晴らしさや不思議さを再確認するには十分な事例であると言えるでしょう。

超記憶症候群(ハイパーサイメシア)とは?

超記憶症候群の人は見たものを全て記憶できる

何かの漫画に出てきそうな名称ではありますが、これは実際に人の脳に起こる現象であり、こうした力を持った人も、わずかではあるものの実在しています。

「超記憶症候群」とは、その名の通り、一般的な人の能力を遥かに超える記憶力を持つ症状を指す言葉です。
記憶するという機能は脳により起こることのため、この能力はまさに脳がもたらす不思議な現象と言えるでしょう。

「昨日のことのように思い出される」という表現は、一般的な記憶力の持ち主でも使うのではないでしょうか。
“ハイパーサイメシア”とも呼ばれるこの超記憶症候群である人は、そうした普通の人たちの記憶力とはレベルが全く異なります。
何年も前の出来事を、まるで今現在目の前で見ているかのように語ったり示したりすることができるのです。

例えば、年月や日時を指定し、その瞬間にどこで何をしていたのかを尋ねれば、それを正確に答えることができます。
そのとき誰と一緒におり、その人がどんな服を着ていて、どんな会話を交わしたのかさえ思い出せるというから不思議です。

脳科学の研究者や、脳神経外科に携わる医師たちにとって、非常に重要な症例であり、それ以上に興味の尽きない脳の働きであると言えるでしょう。

超記憶症候群の人は全世界で20人ほどしか存在しない

過去の出来事などの記憶を膨大に、しかも鮮明に保つことができる「超記憶症候群」ですが、この症状を訴える人は、世界中を探しても20人ほどしか確認されていません。
もしかしたら名乗り出ないだけで実際にはそれ以上の人がいる可能性もありますが、それでも非常に稀であることは間違いないでしょう。

症例数が20件ほどしかないことには、もちろんデメリットがあります。
研究や医療の分野で見ればサンプル数が非常に少なく、現象や症状の解明、原因の究明等が非常にしにくくなってしまうのです。

直接的に死に至るような病気ではなく、人によっては生活に支障が出るケースもあるものの、普通に生活する上で極端に困ることも少ないため、そういった点では原因究明や治療法等の解明及び発見に焦る必要はありませんが、人の脳というとても複雑な器官を知る上では、さらなるサンプルが必要になることは言うまでもありません。

超記憶症候群は機械的に丸暗記できないという点が映像記憶とは異なる

“超記憶”と聞くと、目に見えたものすべてを脳の中に記録し、それをいつでも引き出せるという印象を持つかもしれません。
超記憶症候群の人の中にはそうした人もいるかもしれませんが、しかし多くの場合、目に映ったものを機械的に丸暗記できるとは限らないようです。

症例を見ても、例えば、超記憶症候群であるにもかかわらず学業の成績はあまり良くない人もいるのです。
つまり、テキストをそのまま目に映して機械的に丸暗記することができないケースがあることを、この症例が証明しています。
ここは、映像記憶や写真記憶などと呼ばれる能力とは異なる点と言えるでしょう。

すべてのことをありのままに覚えることができる、と勘違いすると、この症状の解明に行き詰まります。
記憶できるものとできないものがあり、どこにその線引きや違いがあるのかを冷静に見極めることこそ、この症状の原因等の解明につながるのです。

記憶に曜日が絡んでいるのも特徴の一つ

多くの超記憶症候群である人は、記憶を引き出す際に曜日が絡んできます。
これも人によって異なる特徴ではありますが、多くの症例に共通していることから、何らかの関連性があると考えるのが自然でしょう。

例えば、年月日を挙げれば、それが何曜日だったかを答えることができ、その日の出来事や当人が何をしていたのかを思い出すことができるのです。
もちろんその記憶がすべて正しいかどうかは検証が必要ですが、曜日が正しいことは幾つもの実験から疑いの余地がありません。

曜日が記憶を整理する、あるいは呼び起こす基準となっているのか、それともたまたま曜日を絡めて語るような状況が多いのかはさらに探っていく必要がありそうですが、この点を突き詰めていけば、超記憶症候群の解明にまた一歩近づくことができるでしょう。

過去のことを現在のように感じてしまうのも超記憶症候群の特徴の一つ

超記憶症候群である人の多くが語る点で興味深いのは、その記憶の感じ方にもあります。

通常記憶を脳内で思い出そうとする時、それは時に曖昧であり、たぐり寄せるような感覚で思い出す人がほとんどでしょう。
しかし、超記憶症候群の人は、“過去のことが、まるで現在であるかのように感じる”と語ります。

自分自身がその過去の瞬間に戻っていると語る人もおり、つまりは、わざわざたぐり寄せるといった作業をせずとも、過去のある瞬間に自分を飛び込ませることができる、そんな感覚を持っているのです。
だからこそ正確且つ詳細な過去を語ることができるのでしょう。

人の脳は、辛い記憶や不必要な過去をできるだけ消し去るようできています。
それができないことが幸せなのか、それとも不幸なのかは、超記憶症候群である人にしか判断できません。
ただ、人間には稀にそのような能力を持った人が生まれることは事実であり、そうした症例を目の当たりにするたびに、人の脳の不思議や能力に興味を抱かざるを得ないのも、また事実なのです。

人間離れした才能を持つサヴァン症候群とは?

サヴァン症候群の人はある特定の分野で突出した能力を持っている

脳の不思議を語る上で、外すことのできない症状があります。
「サヴァン症候群」です。

日本国内でもこの言葉を目にしたり耳にする機会が増えてきました。
詳しくは知らなくても、だいたいどのような症状を持っているのかを知っている人は確実に増えてきているのではないでしょうか。

人の中には、知的障害や発達障害を患う人たちがいます。
こうした人たちの中で、とりわけ一般の人では持ちようのない飛び抜けた能力を備える人がいますが、こうした人たちを総称し「サヴァン症候群」と呼んでいます。

“一般の人では持ちようのない能力”という表現は非常に幅広く曖昧ですが、人によって発揮される能力は異なるため、こうした定義の仕方が無難であり、且つ的確であると言えるでしょう。

具体的な能力は後述しますが、いずれにしてもこのサヴァン症候群に関しては、まだまだわからないことだらけであるのが現状です。

原因も分からなければ、どのようなメカニズムでそのような異常な能力が発揮されるのかもわかってはいません。
同じ原因やシステム、メカニズムでサヴァン症候群となっている人は存在しないという説すら出てくるほどです。

データ上わかっているのは、女性よりも圧倒的に男性の方が多いという点です。
脳の構造に関係があるのかもしれませんが、こうした事実から少しずつ解明へと繋げることで、さらなる脳の力を我々は知ることになるのかもしれません。

サヴァン症候群の能力

では、実際にサヴァン症候群の人たちは、どのような分野でその能力が発揮されるのかを見ていきましょう。

驚異的な記憶力

比較的多く知られているのが、信じられないほどの記憶力を持つ人たちです。
サヴァン症候群の人は、この記憶力の高い人が多く、程度の差はあるものの、一度覚えたことを忘れずに脳に定着させておく能力を持っている人も少なくありません。
目に映った景色や光景はもちろん、文字や数字などを一瞬で覚えてしまう人も世界中で確認されています。

芸術的な能力

絵が上手い人は世の中に多くいますが、サヴァン症候群の人はとりわけ繊細で詳細な絵を描くことに長けているケースが多いです。
記憶力と関連づけて語られることも多いですが、それ以外にも長時間作品を作り続けられるなど、芸術活動に限っては驚異的な集中力を発揮する人も少なくありません。

音楽的な能力

音楽の才能も同様で、絶対音感を持っていたり、一度耳にした曲は忘れることがなく、それをすぐさま再現できる能力を持ったサヴァン症候群の人たちがいます。
専門的な教育を受けていないにもかかわらず正確且つ感情的な音楽を奏でられる点で、一般的な音楽の才能を持った人とは区別できるでしょう。

人間離れした計算能力

暗算で行うことが到底無理な計算を素早く脳内で行ったり、あるいは、年月日と曜日を結びつけることができたりと、人間離れした計算能力を持ったサヴァン症候群の人たちもいます。
超絶な記憶力とはまた異なった能力で、実際に高速で計算を行っている点に特徴があります。
天才数学者と言われた人の中にも、サヴァン症候群だったのではないかと言われる人がいます。

優れた空間認知能力

あまり多い症例ではありませんが、空間認識に優れたサヴァン症候群の人もいるようです。
例えば、自分と相手との距離を正確に把握することができる人の報告例があります。
ピンとこないかもしれませんが、メジャーなどを使わずに距離感が正確にわかることを考えれば、どれほど優れた能力なのかは想像がつくでしょう。

知覚的な能力

人間には五感が備わっていますが、そうした感覚のいずれか、あるいは複数が優れていることも、サヴァン症候群の場合にはよくある症状として知られています。
触ったものの性質を正確に捉えたり、嗅覚が犬以上に優れているケースもあります。

サヴァン症候群で有名な人物

ここからは、サヴァン症候群であると診断された人や、そうであったと言われている人を紹介していきましょう。
そのエピソードを知ることで、この症状がどれだけ特異なものであるのかがわかるはずです。

山下清


画像引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/山下清

日本が世界に誇る画家に、「山下清」がいます。
“裸の大将”としても知られ、ドラマ化されたため、日本人にとっては非常に馴染み深く親しみやすい画家の一人となっています。

山下は日本中を旅し、そこで見た情景を主に切り絵という形で残してきました。
ドラマの中では、旅の先々で絵を描き、それをお世話になった人の家などに置いてきたというエピソードで語られていますが、実際には少し違うようです。
旅をしていたことは事実のようですが、絵は全て旅から帰った後に、記憶だけを頼りに描いていたとのことです。

彼のこの記憶力こそサヴァン症候群である証拠だとする専門家は多く、コミュニケーションを苦手とし、学習能力も一般的なレベルより低かったことからも、おそらく正しい見解なのではないかと思われます。

キム=ピーク


画像引用元:http://the-lifestyle-japan.com/savant-famous/

日本のテレビ番組などでも度々取り上げられているため、「キム=ピーク」の名前を知っている人もいるかもしれません。
彼もサヴァン症候群として世界中に知られた存在となっています。

アカデミー賞を獲得した映画である『レインマン』は、彼をモデルに作られました。
サヴァン症候群を一躍知られる存在にした張本人と言ってもいいでしょう。

キム=ピークは驚異的な記憶力の持ち主でした。
分厚い電話帳の中身を全て記憶し、名前を言えば電話番号を正確に答えることができたと言います。
歴史などについての書物も、一度読んだものは全て記憶しており、その数は9,000冊にものぼるとされています。
つまり、9,000冊もの本の内容を全て頭の中に収容することができていたのです。

2009年に亡くなっていますが、彼はサヴァン症候群の研究に寄与した人物でもあり、その貢献度は計り知れないものとなっています。

フジテレビの医療ドラマ「グッド・ドクター」

グッドドクター

山﨑賢人さんが主演で小児外科医の世界を舞台にした医療ドラマをご覧になりましたか?
(初回2018/7/12放送)

山﨑賢人さんが演じる主人公”新堂湊(しんどう・みなと)”はコミュニケーション能力に障害があるサヴァン症候群という設定です。

7歳の時に人体の器官をすべて暗記していたり、膨大な医学書をすべて暗記したりと、サヴァン症候群の特徴である”驚異的な記憶力”がこのドラマでも発揮されていました。

あくまでもグッドドクターは『小児外科』にフォーカスされているドラマですが、サヴァン症候群の驚異的な能力を知る事ができる貴重なドラマではないかなと思います。

余談になりますが、日本では過去にもサヴァン症候群をテーマにしたドラマが存在するのをご存じですか?

もしかしたら、放送時に見ていたかたも多いかもしれませんね。
こちらのドラマも特定の分野に優れた能力を発揮するサヴァン症候群の能力がピカリと光る作品でした。

・元SMAPの中居正広さん主演で2012年に放送されたドラマ『ATARU』
・元SMAPの草彅剛さん主演で2006年に放送されたドラマ『僕の歩く道』

あなたは知っていますか?脳の奇病【まとめ】

映画「エクソシスト」のモデルとなった脳の奇病 『抗NMDA受容体抗体脳炎』


画像引用元:映画『彼女が目覚めるその日まで』より┃https://eiga.com/movie/86618/special/

現代では徐々にその原因や仕組みが解明されてきてはいますが、かつては奇病とされ、特に悪魔が取り憑いているとされていた病気があります。
『抗NMDA受容体抗体脳炎』もその一つでしょう。

これは脳炎の一つであり、脳の特定の受容体に自己抗体ができることで起こる疾患です。
現在では有効な治療法も見つかっているため、正しい治療を受ければしっかりと回復する病気となっています。
それでも、この病気に罹患した患者の5%前後が死亡しており、15%ほどの患者が障害を残すとも言われているので、注意深く診療を行う必要があります。

非常に珍しい病気ではあるものの、日本でも1年で1,000人ほどが発症していると言われています。
発症者の多くは女性であることも、この病気の大きな特徴でしょう。
実に9割ほどが女性であるというデータもあるほどです。

映画「エクソシスト」のモデルになったとも言われており、それに登場する人物の症状を見れば、この病気にきっと恐怖感を覚えることでしょう。
ただ、すべての人があのような行動を取るとは限りません。
最近ではこの病気の理解も進んできているため、以前よりも早期に発見できる状況も整ってきています。

自分の意思と関係なく手や足が動く脳の奇病 『エイリアンハンド症候群』

直接的に手や足などを怪我したわけではなく、しかし体の自由が利かない状態になった時には、脳に何らかの異常があると考えるべきです。

『エイリアンハンド症候群』と呼ばれる病気がありますが、これはまさに体の自由が利かなくなる奇病です。
またの名を“他人の手症候群”とも言い、自分の手の動きが自分の意思と一致しない症状を伴う点に特徴があります。

病名も非常におどろおどろしいものですが、実際に原因や治療法は研究段階にあり、具体的なそれらは見つかっていません。
そのため、このような病名にせざるを得なかったのでしょう。

前頭葉や脳梁などに何らかの損傷があるため、手が自らの意思とは関係のない動きをしてしまったり、あるいは動かそうと思っても全く動かなかったりという症状が出ると考えられていますが、これもまだ明確なことはわかっていないのです。

病気自体は100年以上前には確認されているものの、何しろ症例数が少ないため、これが原因究明や治療法の確立を難しくしていると言われています。
直ちに命を落とすような病気ではありませんが、日常生活には大きな影響があり、罹患者は精神的な不安も抱えながら生活を送ることになるでしょう。

薬によって症状を一定抑えることができるとされているとは言え、根本的な治療ではなく、一時的な処置にすぎません。
患者のためにも、早期に解明する必要があります。

治療法無し、余命は2年以内 『致死性家族性不眠症』

中枢神経、つまり脳の神経に異常が発生することで、幻覚を見たり眠れなくなったり、あるいは自分の意思とは無関係に体が動くなどし、やがては死に至る病気が『致死性家族性不眠症』です。

“家族性”であることが、この病気の最大の特徴です。
つまり、特定の家計に現れやすい病気であり、遺伝性があるとも言われています。

日本でこの病気を罹患するケースはほとんどありませんが、しかし一部の家系には見られると報告されています。
発症は40代から50代で、家系こそ関係しているものの、男性と女性に差異はありません。

『致死性家族性不眠症』の最も怖い点は、治療法がないことです。
発症すれば間違いなく死に至り、意識がなくなるまではおよそ1年、長くても2年以内には死亡してしまいます。
薬物による治療や症状の軽減に関する研究は進んでいますが、症例数が少ないことと、特定の家系に現れる特異な疾患であるため、研究や臨床試験等が行われるスピードが遅いという現状もあります。

脳の病気がどれほど恐ろしく、また、脳という器官がどれだけ複雑なのかを象徴するような病気と言えるのかもしれません。

現代社会における脳科学研究の現状と課題

脳科学研究の主な現状

脳は人間を司る器官であり、しかしその全容は未だに解明されていません。
全容どころか、まだまだ科学では解明できないことが多々あり、同時に多くの医師や研究者が、その解明に躍起になっていることも確かです。

人は“心”を持っていますが、これも当然脳が関係しています。
関係という言葉以上の影響力を持ってはいるのですが、それもまだまだ解明されていないのが現状です。

もちろん、電気信号や脳内物質などの影響により心にどのような影響が現れるのかといった研究が進められる中で、鬱や精神疾患などの診療で成果を出してきている現状もあります。
わからないことだらけの脳科学研究において、少しずつその成果が出てきていると言えるでしょう。

こうしたことから、これまで脳は興味の対象や、外傷や病気などにより実際に脳に障害がある状態を治療するためのアプローチが主流だった状況から、心や精神の問題、特に日本においては高齢化社会を迎えるとあって、認知症やアルツハイマー病などの治療や予防に関するアプローチに対しての脳科学及びその研究の重要性が高まってきつつあります。

このような理解が脳科学研究の発展に寄与することは間違いなく、その研究等が今後急速に進むことも期待できるでしょう。

これまでの脳科学研究の主な成果

脳科学研究は、近代に入り、その解明の速度を上げてきています。

神経細胞の構造や、それにどのような機能が備わっているのか、また、神経回路の機能などに関しての研究も進められ、確かにその成果が現れてきています。

と同時に、そうした神経細胞の発生や発達についても徐々に解明されてきており、特定のシグナルによって細胞が増えたり維持されたりすることもわかってきているところです。

人間には五感が備わっていますが、それと脳の関係についても解明されつつあります。
“見る”ということと脳の繋がりや関係性など、人間が当たり前のように行っている行動が、脳内でどのように認識され処理されていくのかも、少しずつではありますが研究の成果が出てきており、医療にも応用されてきているのです。

その他、“なぜ人は眠るのか”についてや、ストレスに関する研究、食べることや人々の性格など、脳と関係するこうした機能や特性などに関する研究も進んでいます。

特に俗に言う体内時計に代表される生体リズムに関する研究では日本が世界をリードしている現状もあり、確かな成果が積み上げられてきていると言ってもいいでしょう。

今後の脳科学研究推進に向けた課題

上記でも触れたように、脳科学研究の分野において、日本が世界をリードしている面は多々あり、脳の解明に大きく貢献している現状があります。
にもかかわらず、理解やサポートといった点においては世界に遅れをとっていることも、重要な側面として捉えておく必要があるでしょう。

まずは、お金の面で課題があります。
国がさらに積極的に助成をする必要があります。
同時に、基礎研究への理解を国全体が深めなければいけません。

また、大学や研究所同士の横のつながりをさらに強固なものとし強力なネットワークを構築しなければ、日本の脳科学研究はこれ以上成果を出せなくなるでしょう。

アメリカをはじめとした欧米諸国、あるいは中国などがこうした研究に大金を投じ、国を挙げて研究体制を整えている中で、少々取り残されている感のある日本ですが、この意識を変えられるかどうかが今後の脳科学研究推進に向けた大きな課題となることは間違いありません。

脳神経外科の最前線で活躍するロボットたち

医師の中でも特別な技術を備える人は「神の手」を持つとも言われ、多くの命を救う結果につながっています。
今後は、ロボットがその「神の手」の役割を発揮してくれるかもしれません。すでにロボットによる手術はあらゆる分野で応用されてきていますが、脳神経外科分野も例外ではないのです。

信州大学脳神経外科の手術用ロボット開発における取り組み


画像引用元:http://wall.kabegami.com/detail/511732538/手術用ロボット

信州大学附属病院は、ロボットを積極的に導入し、臨床においてもその技術を用いた手術を多数行っています。
脳神経外科でロボットの導入を検討した時期は非常に早く、1990年代からその考え方を取り入れていました。

脳腫瘍の摘出手術を実際に初めて行ったのは、「NeuRobot」と呼ばれるロボットです。
2002年のことでしたが、脳腫瘍を摘出するという非常に高度な手術にロボットを採用したのは、世界でも例を見ない試みでした。
その後も同様の手術をロボットにより行いましたが、いずれも成功を収めています。

ただ、その時点でパーフェクトだったわけではなく、少しずつ問題点を解決しながら、ロボットの技術等を改良していったことは言うまでもありません。

そんな中で開発されたのが「EXPERT」と名付けられたロボットです。
こちらも実際に患者を相手にしたオペで使用されました。

信州大学脳神経外科はこのような取り組みを通じて、ロボットの研究開発にも力を入れ、脳神経外科分野のロボットの活用及び普及の可能性を格段に広げることに貢献しています。

市販化されたロボットたち

脳神経外科の手術に使用できるロボットのうち、実際に市販化されたものを紹介していきましょう。

『Neuro mate』

脳神経外科のオペには、脳の中のある特定の部分にアプローチしなければならない手術がありますが、そうした手術を安全に且つ正確に行うためのロボットが『Neuro mate』です。
このような定位脳手術を確実に行うことができるため、『Neuro mate』は“定位ロボット”とも呼ばれています。

神経内視鏡法にも活用できるなど多様な使い方が可能で、脳神経外科手術に大きな貢献をしたことでも知られています。
手術の成功率を上げることにも寄与しており、これにより安全性のみならずコストの面でも医師や病院にとっては大きなメリットとなっています。

『Evolution 1』

神経内視鏡を握り固定するためのロボットが『Evolution 1』です。
手術の際、内視鏡をいかに正確で、且つ医師の操作しやすい位置で握り固定するのかが、手術の成功に大きく変わってくることは言うまでもありません。
それを助けてくれるのがこのロボットというわけです。

ただ、残念なことに、『Evolution 1』は市販されたものの、現在は生産されていません。
どのような経緯で生産が中止されたのかはわかりませんが、限られたスペースで使用するには少々サイズが大きく、技術とはまた別のニーズにうまく応えられなかった可能性があります。

しかし、脳神経内視鏡手術に大きく貢献したことは事実であるため、今後はあらゆるニーズに応えられるような後継機が出てくることは間違いないでしょう。

研究段階のロボットたち

脳神経外科分野で活用可能なロボットの研究はまだまだ続けられています。
現在どのようなロボットが開発されようとしているのかをチェックしておきましょう。

『Neuro Arm』

ロボットの遠隔操作による手術は医師や患者の負担を大きく減らすことが期待されていますが、『Neuro Arm』はそうしたロボットの一つとして、カナダカルガリー大学の教授の元で研究と開発が進行している状況です。

顕微鏡を活用して行う脳神経外科手術をこのロボットに担ってもらおうという計画です。
負担を減らす以外にも、正確性も向上すると考えられています。
すでに臨床においても使われており、市販化までの道のりは順調に進んでいると言えるでしょう。

『MM1』

ロボット技術における研究と開発は、日本も負けてはいません。
東京大学で開発が進められている脳神経外科用のロボットが『MM1』です。

脳の深部の手術は非常に難しいのですが、それをできるだけ容易に行えるようにする目的で、この『MM1』の開発が打ち出されました。
顕微鏡による遠隔操作という点では上で紹介した『Neuro Arm』と同様ですが、よりきめ細やかな作業が可能となるよう、このロボット専用の摂子も共に研究と開発が進んでいる点に違いがあります。
市販化すれば、これによりまた多くの患者が救われることは間違いありません。

名医も行きたい脳神経外科を専門とする病院(東京編)

東京の脳神経外科専門の病院と言えば! 『国立病院機構 災害医療センター』


画像引用元:https://www.hosp.go.jp/photo/ph2-1_000003.html

万全の体制で脳に関わる病気や外傷の診療を行ってきた『国立病院機構 災害医療センター』。
東京都内の中でも高い技術と実績を誇る、重要な役割を担っている病院の一つです。

特色

誕生してから24時間365日、外傷及び脳卒中センターとしての機能や役割を果たしている病院です。

現在所属している医師は10名。
脳神経外科学会に所属する専門医が7名おり、日本脳神経血管内治療学会の指導医が1名所属しています。
当然ながら、日本脳神経外科学会の認定訓練施設としての役割も果たしており、専門医を目指す医師をはじめ、若い医師たちの学ぶ場としての機能も担っています。

症例数

『国立病院機構 災害医療センター』へ入院する方は、年間で900人前後です。
2017年は860名ほどが入院し、手術が行われたのは約430件となっています。

そのうち、最も多かったのは外傷手術で113件。
その他には、血管内手術が94件、脳血管障害に関連した手術が48件となっており、非常に多くの症例数を積み上げてきていることがうかがえます。

患者の声

40代/女性「脳梗塞で入院しましたが、先生との距離がとても近く、安心感を持ったまま治療することができました。
急な入院であったにもかかわらずバタバタとした感じが一切なく、看護師さんも含めて、大変丁寧に対応してくださったと感じています。」

脳神経外科全般を扱う病院 『国立国際医療研究センター病院』


画像引用元:http://www.ncgm.go.jp/hospital.html

非常に長い歴史を持ち、日本の脳神経外科分野をリードしてきたと言っても過言ではない『国立国際医療研究センター病院』。
その特色や症例等を見ていきましょう。

特色

戦後間も無くから脳外科の診療を行っていた当病院ですが、早くから脳に関する手術を行い、脳神経外科に関しては1960年代から現在にかけて多くの症例と向き合いながら発展してきたという経緯があります。
病気や外傷による脳神経系の治療等を積極的に行い、また、治療後のリハビリに関しても力を入れるとともに、リハビリ専門病院への転院もサポートしています。

症例数

脳神経外科手術の数は毎年300例ほどあり、その中でもとりわけ多い症例数となっているのが外傷による慢性硬膜下血腫です。
毎年50件前後、多い時には100件に迫るほどの手術を行っています。
脳腫瘍の摘出手術は毎年30件ほど、脳血管障害の破裂動脈瘤のオペも30件前後行っており、安定した症例数を保っていると言えるでしょう。

患者の声

50代/男性
「歴史のある病院ですが、とても綺麗で清潔感があり、良い意味で緊張感のあまりない病院でした。治療方針等の説明も非常に丁寧でわかりやすく、こちらの不安や心配も汲み取ってくださり、ストレスを最小限に抑えながら治療に専念することができました。」

悪性脳腫瘍に強い都内の病院 『国立がん研究センター中央病院』


画像引用元:http://www.kangoshi-kyuujin.info/byouinn/kokuritsugankenkyuusentaahigashibyouin/

中央区築地にある『国立がん研究センター中央病院』ですが、悪性腫瘍の治療を目的とした患者が多く訪れ、ここで最先端の治療を受けています。

特色

がん研究センターということもあり、脳神経外科ではなく『脳脊髄腫瘍科』を標榜している点に特徴があります。
大所帯ではないものの、それぞれの医師が得意分野で患者と向き合い治療やケアを行っていく点が高く評価されています。
これも悪性腫瘍にフォーカスした診療を行っているからこそでしょう。

症例数

手術の件数のみで言えば、年間で130件から150件ほどとなっています。
とりわけ多いのが開頭腫瘍摘出手術です。がんの治療に特化しているので当然ですが、悪性腫瘍の摘出手術の症例に関しては非常に多くの実績を残しています。
その他、神経膠腫(グリオーマ)に関するオペも年間40件前後あり、がんの脳転移に関連した手術も同様の数の実績を誇っています。

患者の声

60代/女性「丁寧かつ慎重な診断と、適切な治療、そして何より専門的な観点からのアプローチに満足しています。放射線治療を受けましたが、脳神経外科の先生と放射線科の先生がしっかりと連携を取りながら治療をしてくださっていることも実感できました。」

まとめ

本記事では、脳神経外科専門の病院を紹介しましたが、ここで紹介した記事以外にもいい病院はたくさんあります。
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名医と呼ばれる脳神経外科医【まとめ】

脳神経外科の分野には、世界に誇れる日本人医師が数多くいます。
そんな医師たちの中から、特に知っておくべき3人を紹介しましょう。

くも膜下出血を事前に防ぐ脳神経外科の名医 『加藤庸子』


画像引用元:http://president.jp/articles/-/23698

まず紹介したいのが、女性の脳神経外科医の中でも群を抜くスキルや症例数を誇る『加藤庸子』医師です。

脳外科医は男性が多くを占める分野となっていますが、加藤医師はそれに一石を投じるかのごとく実績を積み上げ続けています。
2006年にはこの分野で初めての女性教授となっていますし、その6年後には日本脳神経外科学会の女性理事として、こちらも初めて選ばれています。

日本国内のみならず、女性脳外科医として見たときに、その実績は世界トップクラスと言ってもいいでしょう。
その経験やスキルを積極的に後進にも伝え、脳神経外科分野に大きな貢献を果たしてくれています。

加藤医師の得意とするのは“クリッピング術”です。
これにより多くの患者がくも膜下出血の危険から救われ、結果的に命を取り留めることに繋がっています。
その他、脳動脈瘤や脳動静脈奇形などの治療を得意とし、さらには女性ならではの患者との繋がりも意識しながら新しい医師像を作り上げることにも成功しています。

脳血管内治療と脳外科手術の二刀流で知られる名医 『吉村紳一』


画像引用元:http://www.leader-navi.com/i-clinic/interview04/

他の病院や医師から匙を投げられてしまった患者さんは、こぞって『吉村紳一』医師の元を訪ねるそうです。
それだけ多くの方に信頼されており、何よりもその技術が認められている証でしょう。

吉村医師は、脳神経外科手術とともに脳血管内治療も得意としています。
すでに4,000を超える手術を手がけてきているとも言われ、その数は現在も増え続けています。

医療の世界は常に研究と発見、そして発展を繰り返していますが、そんな中で「フローダイバーター」と呼ばれる、脳動脈瘤の治療器具が今注目を集めています。
最新の治療法で、これを扱える医師は日本にも数える程度しかいません。
その内の1人が吉村医師です。

自ら執刀するだけではなく、若い医師に対して技術や知識を惜しみなく提供し、医療の発展にも大きく貢献してくれています。

情熱大陸にも出演した脳神経外科の鬼才 『佐々木富男』


画像引用元:http://k-ijishinpo.jp/article/2010/201011/000062.html

『佐々木富男』医師は、一生涯脳神経外科医としての道を歩み続けようとする、熱い魂と信念を持った医師です。
まさに“鬼才”と呼ばれるにふさわしい医師と言えるでしょう。
名医中の名医と言っても過言ではありません。

非常に高度な技術を要する頭蓋底外科手術の権威と言われているのが、この佐々木医師です。
九州大学大学院医学研究院脳神経外科の教授としてその腕を振るってきましたが、64歳の時にその立場から退きました。
それは、脳神経外科医として、これまでと同じように患者と向き合い続けることを優先したためです。

現在フリーランスで診療を続ける佐々木医師は、西日本の病院を中心に手術を行い、他の医師では手に負えないような脳腫瘍を持つ患者などを救い続けています。
近年では「情熱大陸」などのドキュメンタリー番組などにも取り上げられ、名実ともに脳神経外科医のトップに君臨する存在となりました。

外傷性脳損傷(TBI)が脳に与える影響

外傷性脳損傷が脳に及ぼす影響について

脳神経外科の分野で仕事をしていく上で知っていなければならないことは多々ありますが、「外傷性脳損傷」もその一つでしょう。
脳の神経系に問題が生じ、場合によっては障害等が残ることもある脳損傷であり、英語で“Traumatic Brain Injury”と呼ばれ、『TBI』と略される症状がこれです。

この外傷性脳損傷が脳に与える影響は様々です。
程度によってはそこまで時間がかからず回復することも少なくありませんが、それこそ程度が重くなれば高次脳機能障害へと至り、あらゆる障害が残ることも珍しくはありません。いわゆる後遺症が残る可能性も捨てきれないのです。

・頭痛
・記憶力・注意力・認知力の低下
・情緒障害
・コミュニケーション障害
・四肢の麻痺

こうしたことが外傷性脳損傷の後遺症としては知られていますが、これだけではありません。
一般的な寿命と比べてそれが短くなることも報告されており、また、アルツハイマー病やパーキンソン病などに罹患する可能性も上がることが知られています。

明確な病名等はなくとも後遺症に苦しむ人々も多く、あらゆる影響が脳に及ぼされると考えるべきでしょう。

外傷性脳障害が発生する原因

外傷性脳損傷の原因は、“頭部に何らかの物理的な衝撃が加えられること”です。
これにより脳に損傷が生じ、上で挙げたような障害や症状が残る可能性が出てきます。
では、物理的な衝撃が加えられる原因は、一体どのようなことなのでしょうか。

・転倒
・自動車事故
・スポーツ外傷
・労働災害
・暴行事件

主な原因は以上のようになっています。
国や地域、年齢などによってどれが最も多い原因となっているのかは変わってきますが、転倒による外傷性脳損傷が最も多いと考えるのが一般的です。

小さな子供や高齢者の転倒がやはり多く、そのような人たちは転倒しやすいだけではなく、転倒した後に自らの頭をかばうことも困難なため、外傷性脳損傷となるケースが多くなっています。

ちなみにスポーツでは、自転車やアメリカンフットボール、バスケットボール、サッカー、野球などの競技で外傷性脳損傷となる人の割合が多くなっていますが、これは競技人口が多いためで、どのような種目でもそのリスクがあると考えておくべきでしょう。

リスクを伴う活動と活動に対する予防策

日常生活を送っている以上、外傷性脳損傷のリスクはいつ何時どこにでもあると言ってもいいでしょう。

自宅から出なければそのリスクはない、とも言い切れません。
浴室で転倒する可能性もありますし、上から物が落ちてきて物理的な衝撃が頭部に加わることも考えられるはずです。

ただ、リスクが高いという意味では、小児や高齢者の散歩や、年齢にかかわらずスポーツを行うことなどは、そのリスクを上げる可能性が高まります。
自転車やバイク、自動車の運転なども外傷性脳損傷のリスクがあるでしょう。
いわゆるガテン系と呼ばれる労働も、そのリスクの高い活動と言えます。

こうしたリスクをできるだけ下げるためには、以下のことで対策や予防を行う必要があります。

・運動機能の向上
・ヘルメットなどの着用
・スポーツ専門家による適切な指導
・危険に対する認識と知識や技術の習得

何よりも、外傷性脳損傷のリスクを知り、あらゆる活動にそうした危険性があることを知ることです。
これにより、それぞれの活動への予防策を講じることができ、最悪の事態を防ぐことに繋がるはずです。

外傷性脳損傷を防ぐための今後の見通しについて

どのような衝撃を頭部のどの部分に何度ほど加えれば外傷性脳損傷となるのかなどは、明確にはなっていません。
症状も含め個人差もあるため、今後もそうしたことが数値として出てくることはほぼないでしょう。

外傷性脳損傷を防ぐためには、正しい知識と意識を持つことが求められます。
その上で、脳震盪などの対処や危険性についても認識し、それを幅広く啓蒙していく必要性があると考えます。

日本は欧米に比べ、この部分が極端に欠けています。
スポーツの世界においては、怪我をしても最後までプレイし続けることが美徳とされる風潮がありますが、まずはこうした価値観から見直していく必要があるでしょう。

少しずつ変わりつつはありますが、化学的根拠に基づいた対策や教育がなされることが、外傷性脳損傷を防ぐために必要なことと言えそうです。
そのためにも、我々のような脳神経外科医は尽力しなければなりません。

脳神経外科医の年収

脳神経外科医の年収は医師の中では平均的

一般の人はもちろん、医師を目指して勉学に励んでいる学生でも、脳神経外科医の年収は高いと想像している人が多いのではないでしょうか。
医師ですから一般会社員などと比較すれば高いことは間違いありませんが、しかし、医療業界内での比較となれば、決して優遇されているわけではありません。

脳神経外科医の平均年収は、1,200万円から1,300万円あたりと言われています。
医師全体の平均年収がこのあたりの水準となっているため、非常に高度な技術が必要な分野ではあるものの、年収に限っては平均的な金額とさほど変わらないのが現状です。

他の診療とも比較してみましょう。

例えば、一般内科は1,300万円前後が平均年収となっており、整形外科は同じ外科分野ではありますが、1,400万円前後が平均の年収額と言われています。
美容外科や美容皮膚科は開業医が多いため、平均でも1,800万円前後の年収と、比になりません。

産婦人科も1,300万円から1,400万円と、脳神経外科医と比べると若干多い年収額となっていますし、一般外科や精神科なども、脳神経外科に100万円から200万円ほどプラスした金額が平均年収となっています。

脳神経外科医よりも年収の相場が低い科目は、消化器外科や呼吸器外科、耳鼻咽喉科などに勤務医として勤めている医師たちです。
ただ、低いと言っても平均値で見れば数万円から数十万円程度の差しかなく、脳神経外科医はやはり医師全体の平均値周辺にいることがうかがえます。
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脳神経外科は手術スキルで年収にかなり差が出る

脳神経外科医の年収の特徴は、上下の金額差が非常に激しいことです。
平均年収は1,200~1,300万円程度ですが、当然2,000万円や2,500万円を超える収入を得ている先生も存在しています。
中には年収が4,000万円や5,000万円を超える脳神経外科医もおり、そういった意味では夢のある分野なのかもしれません。

一方で、1,000万円を下回る年収で働いている医師がいる現状もあります。
脳という人間にとって非常に重要な器官に関わる分野にもかかわらず、1,000万円を下回る年収額はとても低いと言わざるを得ませんが、それだけ手術スキルが年収額に与える影響が非常に強いとも言えるでしょう。

これだけ手術を含めた診療スキルが年収の金額を大きく変える分野も多くはありません。
学びを続け、高度な技術を身につけることで、他の診療科目よりも高額収入が得られる可能性があるのが、この脳神経外科という分野なのです。

年収が2000万円以上はかなりの激務が予想される

収入が上がるということは、それだけの価値があるということですが、脳神経外科医の場合、年収が2,000万円以上になると、勤務環境は一変すると考えておいて間違いないでしょう。
つまり、かなりの激務を覚悟する必要があるということです。

一日に何度も重要なオペに入り、急変した患者や救急搬送された患者がいれば、それにも対応しなければいけません。
24時間常にオペができるような体制を整えておかなければならず、実際に対応する必要に迫られます。

予定通りに全てが進むわけではないのも、この分野の難しいところであり厳しいところでしょう。
まとまった睡眠時間も確保できず、しかし一切の失敗も許されないとなれば、肉体的にも精神的にも相当タフでなければ続けていくことができません。
そのような激務に耐えるからこそ、2,000万円以上という年収を受け取ることができるのです。

他の診療科目では年収に一定の上限があることも多く、しかし脳神経外科医はそれがほとんどないと考えれば、やりがいと追求のし甲斐のある分野と言えるのかもしれません。