脳神経外科の最前線で活躍するロボットたち

医師の中でも特別な技術を備える人は「神の手」を持つとも言われ、多くの命を救う結果につながっています。
今後は、ロボットがその「神の手」の役割を発揮してくれるかもしれません。すでにロボットによる手術はあらゆる分野で応用されてきていますが、脳神経外科分野も例外ではないのです。

信州大学脳神経外科の手術用ロボット開発における取り組み


画像引用元:http://wall.kabegami.com/detail/511732538/手術用ロボット

信州大学附属病院は、ロボットを積極的に導入し、臨床においてもその技術を用いた手術を多数行っています。
脳神経外科でロボットの導入を検討した時期は非常に早く、1990年代からその考え方を取り入れていました。

脳腫瘍の摘出手術を実際に初めて行ったのは、「NeuRobot」と呼ばれるロボットです。
2002年のことでしたが、脳腫瘍を摘出するという非常に高度な手術にロボットを採用したのは、世界でも例を見ない試みでした。
その後も同様の手術をロボットにより行いましたが、いずれも成功を収めています。

ただ、その時点でパーフェクトだったわけではなく、少しずつ問題点を解決しながら、ロボットの技術等を改良していったことは言うまでもありません。

そんな中で開発されたのが「EXPERT」と名付けられたロボットです。
こちらも実際に患者を相手にしたオペで使用されました。

信州大学脳神経外科はこのような取り組みを通じて、ロボットの研究開発にも力を入れ、脳神経外科分野のロボットの活用及び普及の可能性を格段に広げることに貢献しています。

市販化されたロボットたち

脳神経外科の手術に使用できるロボットのうち、実際に市販化されたものを紹介していきましょう。

『Neuro mate』

脳神経外科のオペには、脳の中のある特定の部分にアプローチしなければならない手術がありますが、そうした手術を安全に且つ正確に行うためのロボットが『Neuro mate』です。
このような定位脳手術を確実に行うことができるため、『Neuro mate』は“定位ロボット”とも呼ばれています。

神経内視鏡法にも活用できるなど多様な使い方が可能で、脳神経外科手術に大きな貢献をしたことでも知られています。
手術の成功率を上げることにも寄与しており、これにより安全性のみならずコストの面でも医師や病院にとっては大きなメリットとなっています。

『Evolution 1』

神経内視鏡を握り固定するためのロボットが『Evolution 1』です。
手術の際、内視鏡をいかに正確で、且つ医師の操作しやすい位置で握り固定するのかが、手術の成功に大きく変わってくることは言うまでもありません。
それを助けてくれるのがこのロボットというわけです。

ただ、残念なことに、『Evolution 1』は市販されたものの、現在は生産されていません。
どのような経緯で生産が中止されたのかはわかりませんが、限られたスペースで使用するには少々サイズが大きく、技術とはまた別のニーズにうまく応えられなかった可能性があります。

しかし、脳神経内視鏡手術に大きく貢献したことは事実であるため、今後はあらゆるニーズに応えられるような後継機が出てくることは間違いないでしょう。

研究段階のロボットたち

脳神経外科分野で活用可能なロボットの研究はまだまだ続けられています。
現在どのようなロボットが開発されようとしているのかをチェックしておきましょう。

『Neuro Arm』

ロボットの遠隔操作による手術は医師や患者の負担を大きく減らすことが期待されていますが、『Neuro Arm』はそうしたロボットの一つとして、カナダカルガリー大学の教授の元で研究と開発が進行している状況です。

顕微鏡を活用して行う脳神経外科手術をこのロボットに担ってもらおうという計画です。
負担を減らす以外にも、正確性も向上すると考えられています。
すでに臨床においても使われており、市販化までの道のりは順調に進んでいると言えるでしょう。

『MM1』

ロボット技術における研究と開発は、日本も負けてはいません。
東京大学で開発が進められている脳神経外科用のロボットが『MM1』です。

脳の深部の手術は非常に難しいのですが、それをできるだけ容易に行えるようにする目的で、この『MM1』の開発が打ち出されました。
顕微鏡による遠隔操作という点では上で紹介した『Neuro Arm』と同様ですが、よりきめ細やかな作業が可能となるよう、このロボット専用の摂子も共に研究と開発が進んでいる点に違いがあります。
市販化すれば、これによりまた多くの患者が救われることは間違いありません。

名医も行きたい脳神経外科を専門とする病院(東京編)

東京の脳神経外科専門の病院と言えば! 『国立病院機構 災害医療センター』


画像引用元:https://www.hosp.go.jp/photo/ph2-1_000003.html

万全の体制で脳に関わる病気や外傷の診療を行ってきた『国立病院機構 災害医療センター』。
東京都内の中でも高い技術と実績を誇る、重要な役割を担っている病院の一つです。

特色

誕生してから24時間365日、外傷及び脳卒中センターとしての機能や役割を果たしている病院です。

現在所属している医師は10名。
脳神経外科学会に所属する専門医が7名おり、日本脳神経血管内治療学会の指導医が1名所属しています。
当然ながら、日本脳神経外科学会の認定訓練施設としての役割も果たしており、専門医を目指す医師をはじめ、若い医師たちの学ぶ場としての機能も担っています。

症例数

『国立病院機構 災害医療センター』へ入院する方は、年間で900人前後です。
2017年は860名ほどが入院し、手術が行われたのは約430件となっています。

そのうち、最も多かったのは外傷手術で113件。
その他には、血管内手術が94件、脳血管障害に関連した手術が48件となっており、非常に多くの症例数を積み上げてきていることがうかがえます。

患者の声

40代/女性「脳梗塞で入院しましたが、先生との距離がとても近く、安心感を持ったまま治療することができました。
急な入院であったにもかかわらずバタバタとした感じが一切なく、看護師さんも含めて、大変丁寧に対応してくださったと感じています。」

脳神経外科全般を扱う病院 『国立国際医療研究センター病院』


画像引用元:http://www.ncgm.go.jp/hospital.html

非常に長い歴史を持ち、日本の脳神経外科分野をリードしてきたと言っても過言ではない『国立国際医療研究センター病院』。
その特色や症例等を見ていきましょう。

特色

戦後間も無くから脳外科の診療を行っていた当病院ですが、早くから脳に関する手術を行い、脳神経外科に関しては1960年代から現在にかけて多くの症例と向き合いながら発展してきたという経緯があります。
病気や外傷による脳神経系の治療等を積極的に行い、また、治療後のリハビリに関しても力を入れるとともに、リハビリ専門病院への転院もサポートしています。

症例数

脳神経外科手術の数は毎年300例ほどあり、その中でもとりわけ多い症例数となっているのが外傷による慢性硬膜下血腫です。
毎年50件前後、多い時には100件に迫るほどの手術を行っています。
脳腫瘍の摘出手術は毎年30件ほど、脳血管障害の破裂動脈瘤のオペも30件前後行っており、安定した症例数を保っていると言えるでしょう。

患者の声

50代/男性
「歴史のある病院ですが、とても綺麗で清潔感があり、良い意味で緊張感のあまりない病院でした。治療方針等の説明も非常に丁寧でわかりやすく、こちらの不安や心配も汲み取ってくださり、ストレスを最小限に抑えながら治療に専念することができました。」

悪性脳腫瘍に強い都内の病院 『国立がん研究センター中央病院』


画像引用元:http://www.kangoshi-kyuujin.info/byouinn/kokuritsugankenkyuusentaahigashibyouin/

中央区築地にある『国立がん研究センター中央病院』ですが、悪性腫瘍の治療を目的とした患者が多く訪れ、ここで最先端の治療を受けています。

特色

がん研究センターということもあり、脳神経外科ではなく『脳脊髄腫瘍科』を標榜している点に特徴があります。
大所帯ではないものの、それぞれの医師が得意分野で患者と向き合い治療やケアを行っていく点が高く評価されています。
これも悪性腫瘍にフォーカスした診療を行っているからこそでしょう。

症例数

手術の件数のみで言えば、年間で130件から150件ほどとなっています。
とりわけ多いのが開頭腫瘍摘出手術です。がんの治療に特化しているので当然ですが、悪性腫瘍の摘出手術の症例に関しては非常に多くの実績を残しています。
その他、神経膠腫(グリオーマ)に関するオペも年間40件前後あり、がんの脳転移に関連した手術も同様の数の実績を誇っています。

患者の声

60代/女性「丁寧かつ慎重な診断と、適切な治療、そして何より専門的な観点からのアプローチに満足しています。放射線治療を受けましたが、脳神経外科の先生と放射線科の先生がしっかりと連携を取りながら治療をしてくださっていることも実感できました。」

名医と呼ばれる脳神経外科医【まとめ】

脳神経外科の分野には、世界に誇れる日本人医師が数多くいます。
そんな医師たちの中から、特に知っておくべき3人を紹介しましょう。

くも膜下出血を事前に防ぐ脳神経外科の名医 『加藤庸子』


画像引用元:http://president.jp/articles/-/23698

まず紹介したいのが、女性の脳神経外科医の中でも群を抜くスキルや症例数を誇る『加藤庸子』医師です。

脳外科医は男性が多くを占める分野となっていますが、加藤医師はそれに一石を投じるかのごとく実績を積み上げ続けています。
2006年にはこの分野で初めての女性教授となっていますし、その6年後には日本脳神経外科学会の女性理事として、こちらも初めて選ばれています。

日本国内のみならず、女性脳外科医として見たときに、その実績は世界トップクラスと言ってもいいでしょう。
その経験やスキルを積極的に後進にも伝え、脳神経外科分野に大きな貢献を果たしてくれています。

加藤医師の得意とするのは“クリッピング術”です。
これにより多くの患者がくも膜下出血の危険から救われ、結果的に命を取り留めることに繋がっています。
その他、脳動脈瘤や脳動静脈奇形などの治療を得意とし、さらには女性ならではの患者との繋がりも意識しながら新しい医師像を作り上げることにも成功しています。

脳血管内治療と脳外科手術の二刀流で知られる名医 『吉村紳一』


画像引用元:http://www.leader-navi.com/i-clinic/interview04/

他の病院や医師から匙を投げられてしまった患者さんは、こぞって『吉村紳一』医師の元を訪ねるそうです。
それだけ多くの方に信頼されており、何よりもその技術が認められている証でしょう。

吉村医師は、脳神経外科手術とともに脳血管内治療も得意としています。
すでに4,000を超える手術を手がけてきているとも言われ、その数は現在も増え続けています。

医療の世界は常に研究と発見、そして発展を繰り返していますが、そんな中で「フローダイバーター」と呼ばれる、脳動脈瘤の治療器具が今注目を集めています。
最新の治療法で、これを扱える医師は日本にも数える程度しかいません。
その内の1人が吉村医師です。

自ら執刀するだけではなく、若い医師に対して技術や知識を惜しみなく提供し、医療の発展にも大きく貢献してくれています。

情熱大陸にも出演した脳神経外科の鬼才 『佐々木富男』


画像引用元:http://k-ijishinpo.jp/article/2010/201011/000062.html

『佐々木富男』医師は、一生涯脳神経外科医としての道を歩み続けようとする、熱い魂と信念を持った医師です。
まさに“鬼才”と呼ばれるにふさわしい医師と言えるでしょう。
名医中の名医と言っても過言ではありません。

非常に高度な技術を要する頭蓋底外科手術の権威と言われているのが、この佐々木医師です。
九州大学大学院医学研究院脳神経外科の教授としてその腕を振るってきましたが、64歳の時にその立場から退きました。
それは、脳神経外科医として、これまでと同じように患者と向き合い続けることを優先したためです。

現在フリーランスで診療を続ける佐々木医師は、西日本の病院を中心に手術を行い、他の医師では手に負えないような脳腫瘍を持つ患者などを救い続けています。
近年では「情熱大陸」などのドキュメンタリー番組などにも取り上げられ、名実ともに脳神経外科医のトップに君臨する存在となりました。